Shinji Ukita

カナダの薬物政策の変化 ハームリダクションについて

薬物、ドラッグ、規制物質と呼び方は立場と意見によって様々ですが、これらの所持と使用に関する取り締まり方も国により様々です。日本はこれらの物質の使用をなくす事を目的とした取り締まりを行っており、そのために使用者を犯罪者としてカテゴライズしています。昨年は大麻取締法・麻薬取締法の改正案が国会で可決し、その中には大麻使用罪の新設も含まれており、これにより大麻を麻薬と位置付け、不正な使用には7年以下の懲役が科される事になります。 その一方で、私たちCJC Advisory Networkが所在しているカナダではハームリダクションというアプローチが取られています。これは、これまでの薬物対策とは違い、薬を使うことをやめさせることを目的とするのではなく、これらの物質を使う人たちが病気になったり命を落としたりしないように、どうすればより安全に過ごせるかを考えサポートする事が目的となったアプローチで、使用者を犯罪者としてカテゴライズするのではなく、健康や福祉のサポートが必要な人と捉えてサポートするというアプローチです。 カナダのハームリダクションは世界的に先進的な位置付けにあり、国際的にも高く評価されています。しかし、最近になって新たな変化が見られるのでここで紹介したいと思います。 ブリティッシュ・コロンビア州での変化 カナダ国内の州で最も先進的で使用者に対するサポートの姿勢を見せているのはブリティッシュ・コロンビア州であると言えるでしょう。しかしその理由は、最も使用者が多く、これらの物質による被害を最も受けているという現状があります。2016年にブリティッシュ・コロンビア州は薬物オーバードーズに関して非常事態宣言を発令しており、それ以来、約14,000人の人々がオーバードーズによって亡くなっているとされています。その様な状態を受け、これ以上の被害の拡大を防ぐために、2023年1月31日、同州では公共の場での少量(2.5gまで)の規制物質の所持を非犯罪化するという新たなアプローチを設けました。これは州の決定ではなく、ヘルスカナダ(カナダ保健省)の要請により試験的プログラムとして3年間の期限付きで導入されたものです。 しかしこの試験プログラム導入後、公共の場でのこれらの物質の使用が増加し、それに伴う公衆の安全や秩序に対する懸念が高まり、多くの住民やビジネスオーナーから、公共の場所での薬物使用に対する苦情が寄せられ、特に公園やビーチ、公共交通機関、病院の周辺での問題が顕著となりました。また、試験プログラム導入後、州内での薬物過剰摂取による死亡報告が減少することがなく、この問題に対処するためにはさらなる措置が必要であると判断されることとなり、ブリティッシュ・コロンビア州とカナダ連邦政府は、これらの物質の使用者の健康と安全を確保しつつ、一般市民の安全も守る必要があると考え、特に、公共の場でのドラッグ使用が他の市民の日常生活に支障をきたすことを防ぐために、警察により多くの取り締まりの権限を与える必要があるという結論に達したため、再び州内での規制物質の所持は再犯罪化され、現在はそれらの物質を公共の場で所持した場合は逮捕の対象となっています。 サスカチュワン州での変化 私たちCJC Advisory Networkが所在するカナダのサスカチュワン州でも同じ傾向が見られる。しかし、その変化の根拠となる考えはブリティッシュ・コロンビア州とは真逆であると言えます。。 州内最大の都市であるサスカトゥーンには、Praire Harm Reductionという、薬物使用者に対してハームリダクションアプローチによるサポートを行っているNPOがある。Praire Harm Reductionは薬物使用者だけではなく、ホームレスの人たちを支援する活動も行っており、施設内にはセーフインジェクションサイト(薬物使用者が汚染した注射針や、オーバードーズを引き起こす様な過剰摂取をしない様、安全にそれらの物質を使用できる場所であり、そこには医療関係者も常に常駐している)や、様々な理由から行き場を失った人々に対して無料の食事や宿泊場所を提供したりしている。彼らの活動の根源となる考えは、これらの人々に対する偏見を払拭し、とにかく人々に命を繋ぐことができる環境を提供することにある。以下は同NPOが公式に発表している2021年のデータだが、利用者は3,680人に達している。 しかし2023年、サスカチュワン州政府は、同施設における財政的支援を停止すると発表した。サスカチュワン州精神保健省のティム・マクラウド大臣は、Prairie Harm Reductionは「これらの活動により間違ったメッセージを発信している」と指摘している。また「この様な医療者の活動から発せられるメッセージには、回復への希望があること、そして治療という助けがあるべきである」と述べている。州政府はこれに応じ、州内に薬物依存症者への治療のためのベッドを500床増やすと述べているが、これに対しPrairie Harm ReductionのディレクターであるDe Mong氏は、「これらの人々にとって早急に必要なのは治療のためのベッドではなく、日々命を繋ぐため、毎日を生きていくための周りからのサポートであり、州政府はこの状況を改善し、この地域の人々を支えるために本当に必要な事を行うべきだ」とべている。 オンタリオ州での変化 カナダ最大の都市であるトロントがあるオンタリオ州では、2020年にオピオイドによる被害が深刻化しました。この年に2,426人がオピオイドの過剰摂取で亡くなり、前年から60%の増加となったと報告されています。この深刻な状況が、従来の薬物政策の見直しを促すきっかけとなりました。オンタリオ州の大都市市長会議(Ontario’s Big City Mayors, OBCM)は、薬物非犯罪化とメンタルヘルス危機対応ユニットの設置を提案し、薬物使用者を刑事罰ではなく、医療システムに導くべきであるという主張をしました。 これにより、オンタリオ州は「ジャスティスセンター」というパイロットプログラムを導入し、薬物使用や所持が発覚した場合、刑事罰ではなく治療オプションを提供するシステムに転換する事となりました。このアプローチは、公衆衛生の問題として薬物使用を扱い、依存症を抱える人々が刑事罰を恐れることなく支援を求められる環境を整えることを目的として始まりました。多くの市民団体や公衆衛生の専門家が、この非犯罪化を支持し、薬物使用者が人権を尊重され、安全に支援を受けられるような政策を求めました。 しかし、2024年、オンタリオ州の非犯罪化政策は、連邦政府によって正式に却下されました。この決定の背後にはいくつかの理由があります。まず、公共の安全や秩序に対する懸念が高まり、公共の場での薬物使用が増加し、これが地域社会の安全と秩序に悪影響を与えるという報告が多数あったことによります。またブリティッシュ・コロンビア州での試験プログラムの撤廃も大きく影響していると言われています。ハームリダクション政策の効果についても議論があり、治療や支援の体制が十分に整っていない状況での非犯罪化が問題視されることとなりました。連邦政府は、これらの懸念を受け、非犯罪化政策を見直し、公共の安全を優先する方針に戻す事を決定しました。 日本にとっても、このカナダの事例は他人事ではありません。日本も今後、薬物問題にどのように向き合うかが問われています。ハームリダクションのアプローチは、単に薬物使用を減らすだけでなく、使用者の健康と安全を守り、それにより社会全体の福祉を向上させることを目指すものです。カナダの経験から学べるのは、薬物政策には多様なアプローチが必要であり、状況に応じて柔軟に対応することが重要だということです。日本でも、薬物使用者を犯罪者として扱い逮捕するだけではなく、薬物依存に苦しむ人々が安心して支援を求められる環境を整えることが、これからの日本の薬物政策の課題となるのかも知れません。もし日本が薬物対策においてハームリダクションのアプローチを採用する時が来たら、その時は日本国民の薬物使用者に対する認識を変える必要があります。薬物使用者を犯罪者としてだけ見るのではなく、一人の人間として尊重し、支援を必要としている人として捉えることが大切になるでしょう。偏見や差別を無くし、社会全体で彼らを支える環境を作ることが、薬物問題の解決に繋がるのかも知れません。

Key Points for International Suppliers and Brands to succeed in the Japanese CBD Market

The Japanese CBD market is experiencing a period of rapid growth and transformation, attracting attention from international suppliers and brands looking to capitalize on this emerging opportunity. Despite its promising potential, the market presents unique challenges that require a strategic and informed approach. From regulatory uncertainties to quality control issues, and from the need for …

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国際的な薬物政策との調和 日本の大麻取締法改正への道筋とグローバルな視点

国際連合INCB(国際麻薬統制委員会)の2023年度の年次レポートが発表されました。この中で、国際連合(UN)の薬物管理機関は、医療や科学目的以外での大麻の合法化は国際条約に違反するとの見解を繰り返し表明しています。この件に関して、先日MjBizのジャーナリストであるMatt Lamersが以下のようなツイートをしています。 “In its annual report, the UN’s INCB appears to be reminding countries that international law (1988 Convention) “requires the criminalization” of cannabis cultivation “for the purpose of the production of narcotic drugs contrary to the provisions of the 1961 Convention” In its annual report, the UN's INCB appears to be reminding countries that …

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Germany Cabinet approves a bill allowing the use of cannabis for recreational purposes, but not legalization like Canada

Germany has recently joined the ranks of Malta and Luxembourg as the third European nation to endorse the legalization of cannabis for recreational use among adults. This pioneering legislative shift permits adults to possess small amounts of cannabis for personal use and allows for the cultivation and purchase of cannabis within non-profit entities known as …

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ドイツ 嗜好目的での大麻使用を認める法案を閣議決定 完全な合法化に届かず

ドイツは、成人向けの嗜好目的の大麻の合法化を承認し、マルタとルクセンブルクに次いで、ヨーロッパでこのような措置を講じた3番目の国となりました。この新しい法律は、成人が個人使用のために少量の大麻を所持することを許可し、また、非営利の「大麻クラブ」で大麻を栽培し、購入することも可能になります。しかし、この法律は、成人向け製品の流通と小売販売のための枠組みの実装という点では不十分であり、「準合法化」との見方が多く、カナダの様な完全な合法化にはさらなる進展が必要です。 大麻クラブとは ドイツの大麻合法化における「大麻クラブ」は、非営利団体であり、大麻の栽培や配布を管理する組織です。以下が、大麻クラブに関する詳細です。 目的: 大麻クラブは、大麻の品質管理や安全性の確保を目的として設立されます。また、大麻のの流通を管理し、闇市場の取り締まりや薬物関連犯罪の抑止を図ることも重要な目的とされています。  構成: 大麻クラブは非営利団体であり、会員制です。大麻を購入・栽培するためには、この非営利団体に所属する必要があります。 運営: 大麻クラブは会員数に制限があり、一般的に最大で500名までの会員を受け入れます。会員は18歳以上である必要があり、複数のクラブの会員になることはできません。 販売: 大麻クラブでは大麻を販売しますが、販売される大麻には使用を思いとどまらせる警告文章が含まれている必要があります(日本のタバコの様な措置)。また、アルコール製品の販売は禁止されます。 管理: 大麻クラブは定期的な監査を受け、会計報告を提出する義務があります。すべての収益はクラブまたは給与に再投資される必要があります。 税金: 現在の段階では課税対象外ですが、将来的に大麻の販売に特別消費税を適用する可能性が検討されています。 罰則: 大麻クラブ内での違反行為が発覚した場合、ライセンス取り消しや没収などの制裁措置が取られる可能性があります。 多くの反対意見 欧州委員会からの反対: ドイツの合法化の動きは、欧州委員会から多くの反対意見が出されました。欧州連合(EU)の法律や国際条約において、大麻の嗜好目的の使用は一般的に禁止されているため、ドイツの法案はこれらの規制と矛盾する可能性があります。 国内からの反対: 医師や司法団体から根強い反対がありました。医師会は大麻の依存性や若年層の常用による脳への影響を警告しており、また、裁判官と検察官は法案に反対しています。これらの反対に対して、ドイツ政府は闇市場の取り締まりと若者の保護を目的として法案を推進し、流通を管理する方向に転換することで、反対意見に対処しています。 今回の合法化の概要 ドイツ政府は当初、大麻の完全な合法化を目指していましたが、欧州委員会からの強い反対が出ていることから、二段階の合法化アプローチを進めることとなりました。 第一フェーズでは、公共の場で最大25グラム、自宅で最大50グラムの所持、自宅で最大3株の栽培、社会クラブでの共同栽培が許可される予定です。フェーズ1の目的は、ドイツにおける大麻のブラックマーケットを縮小し、薬物関連犯罪を減らすことにあります。 第二フェーズでは、商業的なサプライチェーンを構築するためのパイロットプロジェクトに焦点を当てる事が予想されています。ドイツ政府は、成人向け市場全体を合法化することを最終的な目標としており、さらにはヨーロッパレベルでの進展を望んでいます。この段階で、合法化された地域での大麻販売に対する特別消費税の導入が検討されています5。他の国々の例を見ると、合法化により大麻市場からの税収が増加していることが報告されています ドイツでは18〜25歳の成人のうち、少なくとも一度は大麻を使ったことがある人の割合が2021年には25%と、10年前からほぼ倍増しています1。しかし、法案には医師や司法団体からの根強い反対があり、大麻の依存性や若年層の常用による脳への影響を警告する声も上がっています3。国連の麻薬監視機関は、大麻の娯楽目的の使用を合法化する動きによって消費が拡大し、健康問題を引き起こしていると指摘しています。 ドイツの大麻合法化の動きは、薬物政策における新たな時代の始まりを示しており、ヨーロッパ諸国の反対との対話を続けながら、自国内での改革を進めています。大麻使用の安全性と公衆衛生を重視した政策を目指し、ヨーロッパ全体での大麻政策に影響を与えると予想されています。他の国々もドイツの例に倣い、大麻合法化に向けた措置を検討する可能性がありますが、各国の政策や法律、EUヨーロッパ連合の規制によって異なる形で進むことが考えられます。ドイツの経験は、他の国々が自国の大麻政策を再考する際の参考となる可能性があります。 Reference: malaymail「German ‘cannabis clubs’ on high as legalisation looms」、reuteur「ドイツ政権、娯楽目的の大麻合法化計画案を発表」、JIJI Press「ドイツで大麻を限定的解禁へ=闇市場排除、流通管理に転換」、日本経済新聞「ドイツ、大麻合法化の法案可決 医師ら根強い反対」、犯罪白書「第3節 ドイツ連邦共和国」、

カナダ 大麻のお仕事 2024年2月編

企業の利益という点で見るとなかなか成長がみられない北米の大麻産業ですが、市場規模は年々確実に拡大しています。カナダのみに関して見れば、大麻関連の求人は全求人の中でも非常に数が多く、特にバッドテンダーや栽培アシスタントといった職種は常に売り手市場の状態が続いています。これらの仕事は特に経験も求められず、いわゆるエントリーレベルの仕事で誰でも簡単に見つける事ができることから、海外から出稼ぎに来る人にも非常に人気の職種となっています。また専門知識を必要とする大麻関連の仕事も多く、これまで活躍してきた分野での経験を活かしながら大麻という市場に転職するという流れも非常に多くなってきています。 製造・プロダクション Aurora Cannabis Inc.: 栽培チームのマネージャーを募集しています Adecco: BC州ケロウナで製造チームマネージャーを募集しています Four Buds Farms: グリーンハウスマネージャーを募集しています Tilrey: オンタリオ州フェンウィックでカンナビノイド抽出テクニシャンを募集しています Cannabis at Work: トロントでプリロール製造クルーメンバーを募集しています Under the Sun: サスカチュワン州にてグロウマネージャーを募集しています。こちらは募集広告による一般求人では無く、人材派遣業事業者のヘッドハンティングとネットワーク内での求人のみ行われています。こちらの募集は弊社でも受け付けています。詳細はお問い合わせください。 小売販売・リテール CIRCLE K: ディスペンサリーマネージャーを募集しています IMAGINE CANNABIS: BC州デルタでバッドテンダーを募集しています High Ties Cannabis Sore: オンタリオ州オタワにてバッドテンダーを募集しています MaryJane’s Cannabis: トロントにて宅配ドライバーを募集しています ラボ・検査・リサーチ eurofins: アルバータ州エドモントンにてケミスト(化学者)を募集しています eurofins: オンタリオ州トロントにてQA(品質保証)マネージャーを募集しています マーケティング・ブランディング OCS Ontario Cannabis Store: デジタルマーチャンダイスマネージャーを募集しています CanDelta Inc.: マーケティングスペシャリストを募集しています セールス Weed Pool Cannabis …

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イギリス発、カーボンニュートラルな大麻栽培が示す、日本の持続可能な農業への道

イギリスでのカーボンニュートラルな大麻栽培の成功事例は、日本における大麻(ヘンプ)栽培の将来にとっても重要なメッセージを伝えています。オリヴィエ・デオン氏が代表を務めるイギリスの企業Glass Pharmsが、世界で初めてカーボンニュートラルな屋内大麻栽培を実現したことは、エネルギー消費の削減と環境への配慮を両立させる新たな農業モデルの可能性を示しています。この革新的な取り組みは、エネルギー消費を大幅に削減しながら、増加する医療用大麻やカンナビノイドの需要に対応する1つの方法と捉えられており、再生可能エネルギーを活用し(カーボンニュートラル)、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の原則に基づいて大麻栽培プロセスを設計することで、環境への影響を最小限に抑えることが可能であることを証明しています。 増加する医療用大麻とカンナビノイドの需要 医療用大麻とカンナビノイドの需要は急速に増加しています。2023年の最初の9ヶ月間にイギリスに輸入されたカンナビスは、約24トンに達し、2022年のほぼ3倍になりました。しかし、依然として供給に関する問題は残されたままとなっています。現在、イギリスの全ての医療用大麻が海外からの輸入で賄われており、イギリスの患者は供給不足という問題に悩まされています。これは、価値が高く、改善が可能な市場が未供給のまま放置されている状態ということができます。 大麻やカンナビノイドだけではありません。「イギリスにおける安価な農作物の入手は、スペインの海岸沿いにあるロス・プラティコス(ビニールハウス)やモロッコからの輸入を依存しており、これからも、これらの国や地域からイギリスが安価な農作物が輸入し続けられるという思い込みを持った人が非常に多い。」と、Glass Pharmsの渉外部を担当するMark Heley氏は語っています。これらの時給問題はイギリスだけでは無く、多くの食物を輸入に頼っている我が国日本も例外ではありません。 日本におけるエネルギー政策の課題 世界は現在、エネルギーコストの高騰という深刻な問題に直面しており、これは複数の要因によって引き起こされています。再生可能エネルギーへの移行は進み始めているものの、そのペースは十分ではなく、不安定な気候変動による影響も受けやすい状況にあります。さらに、近年の戦争などによる国家間の緊張の高まりは、エネルギー資源の供給に大きな不安定さをもたらし、日本のようにエネルギー資源のほとんどを輸入に頼る国にとっては、大きなリスクとなっています。 日本の場合、福島第一原子力発電所事故後の原発政策の見直しにより、国内のエネルギー供給体制は大きな課題となっています。日本でも医療大麻制度の導入や、これから始まると予想されるCBD市場などを考慮すると、これらの事は日本にとっても大きな問題であり、何らかの対策が必要になると考えられます。 このような背景から、世界の大麻栽培においては、高騰するエネルギーコストと環境への配慮をどのように両立させるかが大きな課題となっています。従来の大麻栽培方法は、大量のエネルギーを消費し、それに伴う高いカーボンフットプリントを生み出すため、持続可能な農業の観点から見直しが求められています。 現代の大麻栽培の問題点 大麻という植物は、ヒッピー文化やエコ意識の高い人々に愛されている傾向にありますが、必ずしも環境に優しいわけではありません。屋内で大麻を栽培し1kgの乾燥大麻を得るためには、約6,000kWhのエネルギーが必要(設備、栽培環境にも影響される)で、そのCFP(カーボンフットプリント)は1,400kgになると、EUの薬物監視機関である欧州薬物中毒監視センターの研究の中で示されています。これは、大麻を1/3グラム(0.33グラム)巻いた一本のジョイントが、ハイブリッド電気自動車を約3マイル走らせるのと同等のエネルギ消費量と言う事ができます。 またオランダでは、大麻栽培に起因する被害が甚大になっています。2021年にカンナビス栽培のために盗電された電気量は約10億kWhに達しており、これは65万人の都市ロッテルダムの年間家庭用電力需要に相当します。 カーボンニュートラルな大麻栽培 Glass Pharmsの施設全体には、イギリス国家が管理する電力網が一切敷かれていません。施設が嫌気性プラントの隣に位置しており、そこから全ての電力と熱が供給されています。また同社は、嫌気性プラントで燃焼されるメタンバイオガスから発生する二酸化炭素を集め、それを大麻に供給するシステムも開発中です。渉外部を担当するMark Heley氏は、「私たちが取り組んでいるのは、イギリス国内の大麻産業だけではない、より広範な問題です。それらは、エネルギーを大量に消費する農業を私たち人間がどのように運営していくかという問題に他なりません。」と述べています。 「エネルギー政策の転換」と「カーボンニュートラルな大麻栽培」の必要性 世界がエネルギーコストの高騰、気候変動の不安定性、そして国際情勢の変動という複合的な課題に直面している中で、持続可能な産業構造への転換が急務とされています。この状況下で、ヨーロッパで実施されているファストファッションの売れ残り品の廃棄を禁止する政策は、循環型経済の理念を実践し、産業全体の持続可能性を向上させる典型的な例です。この政策は、未使用の衣類が単に廃棄されるのではなく、再利用やリサイクルを通じて新たな価値を見出すことを奨励します。循環型経済とは、製品のライフサイクル全体にわたって資源を最大限に活用し、廃棄物を最小限に抑えることを目指す経済システムです。このアプローチにより、資源の有効活用が促進され、環境への負荷が軽減されます。 ファストファッション産業は、短い製品サイクルと大量生産により、大量の廃棄物を生み出し、環境問題の一因となっています。売れ残り品の廃棄を禁止することで、企業は製品の設計から生産、販売、廃棄に至るまでのプロセスを見直し、より持続可能な方法を探求するようになります。これにより、衣類が長く使用されるようになり、最終的には廃棄物の量が減少します。この政策は、資源を循環させることで廃棄物を減らし、製品の終わりが新たな始まりにつながるサイクルを作り出す、サーキュラーエコノミーの理念を具体的に示しています。 このヨーロッパでの取り組みは、日本におけるカーボンニュートラルなヘンプ栽培の推進という観点でも特に意義深いものとなります。エネルギー消費の削減と、環境保護を目指すヘンプ栽培の新しい方法を構築することは、ファストファッション産業における持続可能な取り組みと並行して、資源循環と環境保護の観点から重要なステップです。日本がこのような国際的な動向にならい、大麻栽培を含むさまざまな産業で資源の循環利用と環境保護を推進する政策を実施することは、持続可能な社会への転換を加速させるための重要な方策となるでしょう。このアプローチにより、日本は再生可能エネルギーの利用拡大と循環型経済への移行を通じて、エネルギー自給自足と環境負荷の低減を目指すことができ、またそれは、日本の麻文化の復興にも繋がる可能性があります。 Reference: The EMCDDA「EU Drug Market: Cannabis — Production」、Glass Pharms Website,

合法大麻製品から違法成分デルタ-9-THCが検出 1億5,000万アメリカドルの損害賠償へ

先週、アメリカのジョージア州で注目される大麻関連の集団訴訟が提起されました。これは、カリフォルニア州に本拠を置く大麻ブランド、STIIIZYやCookies、その他12社が販売していたデルタ-8-THCヘンプ製品から違法とされる成分デルタ-9-THCが検出されたことに起因しています。この集団訴訟では、1億5000万アメリカドル以上の損害賠償を求めており、ジョージア州の北部地区の米国地方裁判所に2月6日に提出されました。 訴訟の中心となるのは、ジョージア州の住民ハンナ・レッドベター氏で、デルタ-8-THCヘンプ製品として売り出されたが、実際には連邦法で禁止されている大麻製品を購入してしまったという主張によります。これらの製品は、ヘンプ製品としての基準である0.3%以下のデルタ-9-THCを含むと表示されていました。 訴訟内容によれば、消費者は法律に準拠した製品を購入していると信じていましたが、実際には法律で許容されているTHC含有量を超える製品を購入していたというのです。STIIIZYとCookiesを含む被告企業は、「過去4年間にわたり、数千人の人々に違法な大麻を製造、流通、または販売し、これにより数百万ドルの詐欺的な利益を得てきました」と非難されています。この行為は、消費者を欺き、不法な利益を上げるためのものであり、その実現のためには製品の検査結果を意図的に偽装することが行われたとされています。すなわち、製品が合法基準に達していないことを知りつつ、一部の検査機関は虚偽の証明書を発行していたという事になります。 この訴訟は、2018年にヘンプが合法化された連邦農場法案と、その後のヘンプ製品の人気が高まった背景の中で発生しました。訴訟では、分析結果(成分分析表・COA)が誤っているとされる証明や、製品が法律で認められている以上のデルタ-9-THCを含んでいることが明らかにされ、これらの行為が電子通信を使った詐欺行為(ワイヤー詐欺)など、複数の違法な行為にあたると主張しています。 日本では、Cannabis Culture Japanを運営する食品製造販売会社「株式会社 WWE」が過去に販売していた製品からTHCが検出され、麻薬取締法違反の疑いで家宅捜査が行われたことが2月14日に報じられました。このような国際的な事件は、大麻関連製品の法的な扱いと消費者の保護に関する課題を浮き彫りにしています。日本の企業や消費者も、国際的な動向を注視し、適切な知識と注意を持って対応する必要があります。 この訴訟は、組織的な不正行為に対抗するための法律(RICO法)を使って行われており、被害に遭った側は、実際の損害額の3倍までの賠償を求めることができます。この事件は、日本でCBD製品を取り扱う企業にとって重要な法的な警鐘となり、業界全体での透明性の確保と法律を守ることの重要性を強調することになるでしょう。 Reference: Ganjapreneur「Georgia Files $150M Lawsuit Over Intoxicating Hemp Product Sales」、Yomiuri Shimbun「大麻グミから幻覚引き起こす違法成分検出…販売元「WWE」を麻薬取締法違反容疑で捜索」、Green Market Report「Georgia $150M class action lawsuit accuses STIIIZY, Cookies, others of selling marijuana as hemp」

カナダからイスラエルへの医療用大麻輸出に関するアンチダンピング調査

カナダとイスラエル間で生じている医療用大麻の輸出入に関する問題は、国際貿易の複雑さと、グローバル化された市場における国家間の利害の衝突を浮き彫りにしています。イスラエル経済産業省のダニー・タル輸入管理局長は、カナダからの医療用大麻の輸入が地元産業に損害を与えているとして、アンチダンピング調査を開始すると発表しました。この調査は、カナダの大麻産業がイスラエル市場に対して不公正な貿易を行っている疑いに基づいて行われます。 アンチダンピング措置とは? 先ずこの記事のポイントとなるアンチダンピングについて説明します。アンチダンピング措置とは、不当に安い価格で輸入される商品に対して行われる政府の介入のことです。これらの措置は、国内産業を保護し、公平な競争条件を維持するために設けられています。不当に安い価格で商品が輸入されると、その国の同じ種類の商品を生産している業者が価格競争に負けてしまい、経済的な損害を受ける可能性があります。そこで、アンチダンピング措置を通じて、以下のような手段が講じられます。 調査: 不当に安い輸入品の存在と、それが国内産業に損害を与えているかどうかを調査します。この調査は、国内の業者からの申し立てに基づいて開始されることが一般的です。 ダンピングマージンの計算: ダンピングが行われていると判断された場合、輸入品の正当な価格と実際の輸入価格との差(ダンピングマージン)が計算されます。 追加関税の課税: ダンピングマージンに基づいて、不当に安い価格で輸入された商品に対して追加の関税が課されます。この追加関税は、ダンピングによる価格差を補正し、国内産業を保護する目的で行われます。 再調査: 措置の有効期間中に、市場状況の変化や関係者からの申し立てに基づき、再調査が行われることがあります アンチダンピング措置は、国際貿易における公正な競争を促進し、ダンピングによる不公平を是正するための重要な工程です。しかし、これらの措置が適切に運用されることが重要であり、過度な保護にならないようにバランスを取る必要があります。 イスラエルの懸念 イスラエルの主張は、カナダに拠点を置く企業が余剰の医療用大麻をカナダ国内での販売価格よりも最大で60%安い価格でイスラエルに輸出しているというものです。このようなダンピング価格での輸入は、イスラエルの医療用大麻産業に対する多額の投資を無駄にし、多くの製造業者が閉鎖に追い込まれる状況を招いています。イスラエルは、厳格な規制を用いて医療用大麻産業の研究、開発、および生産施設の設立に数十億シェケルを投資してきましたが、カナダからの安価な輸入品により、これらの投資が実を結ばず、地元企業が競争に苦しんでいます。 カナダの立場 カナダ側からの公式なコメントは限られていますが、カナダはグローバルな医療用大麻市場で主要プレイヤーであり、その生産能力と品質で国際社会から認知されています。カナダの大麻企業は、国際的な需要に応え、合法的な輸出市場に参入することで、国内外でのビジネスの機会を模索しています。カナダからの大麻の輸出は、国際的な薬物管理条約や受け入れ国の法律の枠組みの範囲内で行われており、カナダ政府や企業はこれらの規制を遵守していると主張しています。カナダは自国の大麻業界が世界市場で競争力を持つ様にと考えており、そのための輸出は公平で正当な商慣行に基づいていると考えています。 問題の背景と今後の見通し この問題は、グローバル化された医療用大麻市場の中で、国際貿易のバランスをどのように取るかという問題を浮き彫りにしています。カナダは自国の大麻産業を国際市場で成長させようとしています。その一方で、イスラエルは地元の大麻産業を保護し、外国からの安価な輸入品による不公正な競争から守ろうとしています。このような状況は、国際貿易における規制、市場アクセス、および競争政策の重要性を示しており、国際的な協力と相互理解を通じて解決される問題です。 イスラエルによるアンチダンピング調査は、カナダとイスラエルの間だけでなく、国際的な医療用大麻市場における貿易慣行に影響を与える可能性があります。この調査がどのような結論に至るかはまだ不明ですが、両国間の対話と協力が重要であり、国際貿易の公正性と透明性を確保するための枠組みの強化が求められています。この問題の解決は、国際的な医療用大麻市場の健全な発展と、患者への安全で効果的な医療用大麻の提供に寄与することが期待されます。 Reference: Toronto Star、MjBiz、Green Market Report

The Timeless Appeal of Japan’s Hemp Leaf Pattern

The hemp leaf pattern stands as one of the most cherished designs within the tapestry of traditional Japanese motifs. Its roots burrow deep into the annals of time, embedding itself firmly within Japanese culture and craftsmanship through the ages. This pattern, an abstract representation of the hemp leaf through geometric shapes, is characterized by its …

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FDA ヘンプシードミールを雌鶏の飼料として初めて承認

アメリカでは、麻が農業や畜産において新たな役割を果たし始めようとしています。FDA(アメリカ食品医薬品局)にあるFDA-CVM(獣医医薬品センター)は、動物用の医薬品や飼料が安全かつ効果的である事を保証している機関ですが、雌鳥のための飼料成分として、HSM(麻の種を含んだ食事)の使用について暫定的な承認をしたと発表しました。 鶏のエサとしてHSM(麻の種を含んだ食事)を推奨している団体HFC(麻飼料連合)は、AAFCO(アメリカ飼料管理官協会)の会議で、HSMの使用が承認されたことを大きな進歩として発表しました。AAFCOは、飼料の成分やラベルの基準を設定し、アメリカや他の国の飼料の安全性を守るための指針作りにおいて110年以上に渡り貢献しています。 麻の種は、たくさんのビタミンやミネラル、健康に良い油、高品質のタンパク質を多く含んでいます。研究によると、麻の飼料は大豆や菜種と同じくらい栄養価が高く、安全だとされています。麻を食べた鶏は、人間の健康に良い影響を与える種類の脂肪酸やルテインを多く含む卵を産むことがわかりました。 HSM(麻の種を含んだ食事)の安全性はFDA-CVMの厳格な評価により検証されており、これは飼料メーカーや工場がHSMを安全に使用できる事を意味しています。また、この食事の成分や卵に含まれるカンナビノイド(麻に含まれる成分)が、人間の食べ物に影響を与えないことも確認されました。 鶏のエサとしてHSM(麻の種を含んだ食事)を推奨している団体HFC(麻飼料連合)は、AAFCO(アメリカ飼料管理官協会)の会議で、HSMの使用が承認されたことを大きな進歩として発表しました。AAFCOは、飼料の成分やラベルの基準を設定し、アメリカや他の国の飼料の安全性を守るための指針作りにおいて110年以上に渡り貢献しています。 このHSM(麻の種を含んだ食事)の認可は、農業の発展に役立ち、農家がリスクを抑えながら作物の多様化を図り、新しい作物のメリットを享受できるようになる重要なステップです。麻は土壌を改善し、病気の予防に役立ちます。さらに、少ない資源で育てられるため、持続可能な供給チェーンの構築にも非常に有用です。 米国食品医薬品局(FDA)が、飼料としてのHSM(麻の種を含んだ食事)の定義に同意し、使用を暫定的に承認したと発表しました。この定義は米国食品医薬品局(FDA)内にある飼料検査官協会(AAFCO)の成分定義委員会によって承認され、2024年後半には再度最終的な定義が承認されることになっています。この定義が承認されれば、最大で20ppmのCBDと2ppmのTHCが飼料に含むことができる様になります。 画像出展: HFC website この歴史的なマイルストーンの達成には3年以上の歳月を要しており、これにより飼料メーカーは鶏のエサに最大20%までHSM(麻の種を含んだ食事)を含めることができるようになりました。この新しい飼料の詳細は、HFC(麻飼料連合)のウェブサイトで確認することができます。 HFC(麻飼料連合)は、より栄養価の高い飼料成分を支援し、農家がリスクを減らしながら麻市場の新たな可能性を探ることを目指しています。HFCのメンバーは、様々な動物の飼料に麻の穀物製品を取り入れるための基盤作りに取り組んでいます。 Reference: HFC「Hemp Seed Meal for Laying Hens, an approval years in the making」、U.S Hemp Roudtable「Hemp Seed Meal Tentatively Approved for Laying Hens」、

Cannatrek and Mie University Forge Historic Cannabis Research Partnership

In a landmark move that underscores the evolving global perspective on cannabis, Australian cannabis pioneer Cannatrek has signed a historic Memorandum of Understanding (MoU) with Japan’s Mie University, marking a significant milestone as the first partnership of its kind between an Australian firm and a Japanese research institution. This collaboration is poised to drive forward …

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カナダ、サスカチュワン州で大麻のうどんこ病に対する研究プロジェクト

カナダのサスカチュワン州にある工科大学Saskatchewan Polytechnicと大麻の種苗事業を行うMother Labsが協力し、大麻産業の重要な課題である「うどんこ病」への抵抗性を高めるための研究プロジェクトが進行中です。この共同研究は、大麻栽培の持続可能性と製品の品質向上に対する重要なステップになると考えられており、大麻産業の発展において新たなマイルストーンを築く可能性があります。 プロジェクトの核心にあるのは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)技術の応用です。PCR技術は、特定のDNAシーケンスを増幅し検出するために用いられる方法で、医学研究や法医学だけでなく、植物育種の分野でも広く利用されています。COVID-19パンデミック期間中に広く用いられたPCRテストと同じ基本原理を用いていますが、本プロジェクトでは大麻の「うどんこ病」に対する抵抗性遺伝子の有無を検出するために特化しています。この技術の応用により、研究チームは「うどんこ病」に強い大麻株の選別と育成を目指しています。 Saskatchewan PolytechnicとMother Labsの研究に参加している学生たちは、実際に植物からDNAを抽出し、PCRテストを通じて性別の特定や「うどんこ病」に対する抵抗性の有無を調査しています。この実践的な経験は、学生たちにとって、将来の問題解決に応用する貴重な機会となると¥考えられます。また、このプロジェクトは、学生たちにとって、大麻産業における研究開発の最前線で活動する経験を積むことができる絶好の機会でもあります。 「うどんこ病」は、湿度が高い環境での大麻栽培においては頻繁に見られる問題であり、「うどんこ病」に抵抗性のある株の開発は、被害を最小限に抑える上で必要不可欠です。Saskatchewan PolytechnicとMother Labsの共同研究は、大麻産業における品質向上と持続可能性という部分において期待されています。このプロジェクトは、大麻栽培技術の進化に重要であると同時に、大麻産業全体のイメージの向上にも寄与する可能性が期待されています。 このプロジェクトは、カナダ国立研究評議会工業研究支援プログラム(NRC-IRAP)からの資金提供を受けており、Saskatchewan Polytechnicは2023年にヘルスカナダ(カナダ保健省)から大麻研究および分析を行うためのライセンス(リサーチライセンス)を取得しています。 Saskatchewan Polytechnicの応用研究副学長であるSusan Blum博士は、大麻産業の成長に伴い、優れた育種プログラムと省エネルギーによる繁殖方法の開発がますます重要になると指摘しています。このプロジェクトは、伝統的な農業技術を大麻産業に適応させ、大麻の品質を向上させることを目的としています。 カナダではこのプロジェクト以外にも、「うどんこ病」に対する抵抗性を持つ大麻の開発に向けた研究が進められています。2020年、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)では、「うどんこ病」などの病害抵抗性に焦点を当てた大麻の品種改良の研究を支援するため、連邦政府、州、大麻産業界から420万ドル以上の資金援助がを受けることが発表されました。これらの研究は、大麻産業の持続可能性と品質向上に貢献することが期待されています。このプロジェクトは、UBCの研究者であるローレン・リーセバーグ博士とマルコ・トデスコ博士とオーロラ・カンナビス社との共同研究であり、オーロラ・カンナビス社は、このプログラムによって発見された「うどんこ病」抵抗性に関してすでに仮特許を出願しています。研究は「うどんこ病」への対応だけにとどまらず、2023年には、UBCのトデスコ博士もオーロラ・カンナビス社社の遺伝学者とチームを組み、高品質な大麻を屋外生産に適応させる研究も行うと発表しています。 日本でも医療用大麻(大麻製剤)の合法化に向けた動きが進んでいます。カナダでのこういった研究は、将来的に日本の大麻産業にも影響を与える可能性があります。海外の大麻産業に携わりたいと考えている方々にとって、これら大学機関で学びこのような経験を得ることは、将来仕事に就くうえでも貴重な体験となります。大麻産業は急速に進化しています。これらの進歩を追いかけ、学び、理解することが、将来の大麻産業で成功するための鍵となります。 Reference: Saskatchewan Polytechnic「Sask Polytech and Mother Labs collaborate to enhance plant screening in cannabis industry」、STRATCANN「Saskatchewan Polytechnic teams up with Mother Labs to tackle powdery mildew」

2024 Prospects of Hemp Food in Japan

The consumption of hemp food in Japan has become a focal point of interest in recent years, driven by the nation’s growing consciousness towards health and wellness. This burgeoning interest is not merely a trend but a reflection of a broader shift in societal values towards sustainable and health-conscious living. The introduction of CBD (Cannabidiol) …

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Japan and CBD trade

The cannabidiol (CBD) industry is burgeoning globally, and Japan is no exception. However, navigating the regulatory landscape for exporting CBD to Japan can be complex, given the country’s stringent laws surrounding cannabis and its derivatives. This article aims to shed light on the current regulations and the anticipated changes that could impact CBD businesses looking …

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Japan Navigates a Transformative Year in Cannabis and Hemp Industry Amid Legislative Changes and Health Concerns

Tokyo, Japan – The year 2023 has been pivotal for Japan’s cannabis and hemp industry, characterized by significant legislative changes and a burgeoning interest in CBD and other rare cannabinoid products. These developments signify a major shift from Japan’s traditionally strict stance on cannabis and hemp, heralding a new era of possibilities in medical treatments …

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カナダ最大の食料チェーン Loblawsグループ 大麻販売市場参入を目指しオンタリオ州政府に規制緩和を要請

カナダ最大の食料品チェーン、Loblawsが大麻小売規制の変更を求めてロビー活動を行っています。これにより、Loblawsが大麻市場に本格的に参入する可能性があります。 LoblawsはReal Canadian Super Market, T&T, No Frillsなどを経営するカナダで最大の食料品チェーンを運営する企業です。多くのブランド名で店舗を展開し、食品、日用品、健康関連商品など幅広い商品を提供しています。Shoppers Drug Mart(ショッパーズ・ドラッグ・マート)などの薬局チェーンも運営しており、食料品だけでなく、医薬品や健康関連商品の分野でもカナダ国内で非常に大きな存在感を示しています。 このロビー活動は、オンタリオ州の大麻業界における大きな変化の一環として捉えられています。2024年初頭、オンタリオ州ではディスペンサリーの運営上限が75から150に倍増し、新たな市場が開拓される可能性が高まっています。また、ミシサガ市など、これまでディスペンサリーの設置を許可していなかった大きな都市でも、ディスペンサリーのオープンが進んでいます。 Loblawsが求めている規制緩和の内容は主に以下の2つです。 食品やスナックと一緒に大麻を販売することを制限する規制の撤廃 医療用大麻を販売する企業が嗜好用大麻も販売できるようにするに規制の変更 店内ディスペンサリー制度の導入(一部のスーパーマーケットで見られるような、店内に設置された(リカーショップ)酒屋のような運営形態の許可 Loblawsのこれらの動きに対して、業界からは様々な声が上がっており、大企業の市場支配に対する懸念や、競争の増加と消費者の利益まで、幅広い意見が上がっています。一部の政治家や消費者保護の専門家は、このLoblawsの提案が受け入れられることによって、政府が大企業に有利な政策を進めることになると懸念しています。ブリティッシュコロンビア州では、ディスペンサリーの運営上限が7店舗と、オンタリオ州が今回改定した150店舗と大きな差分があり、その事について疑問視する意見も多く上がっています。 一方で、これまでオンタリオ州政府は大企業に対して寛容な姿勢を示していることから、今後の展開に期待が寄せられています。カナダで最大のディスペンサリーチェーンCanna Cabanaを運営するHigh Tide社のCEOであるOmar Khan氏は、競争の増加が市場に良い影響を与えるとコメントしており、Loblawsの大麻市場への参入を支持すると述べています。 Loblawsはカナダ全土で2,400店舗の食料品チェーン、薬局チェーンを運営しており、既に「C-Shop」ブランドとして2店の大麻ディスペンサリーも運営しています。この動きは、カナダの大麻市場における重要な転換点となる可能性があり、Loblawsのような大手企業が市場に参入することで、大麻製品の流通とアクセスが大きく変化することが予想されます。この規制緩和が実現すれば、他の企業にも市場参入の道が開かれることになります。ただし、これらの変化がどのように業界全体に影響を与えるかは、今後の政策決定と市場の動向によって左右される事になります。 Reference: Green Market Report「Canadian Grocery Chain in Fifth Year of Lobbying for Expansion of Marijuana Sales」、Global News「Grocery giant Loblaws pushing Ford government to change cannabis retail rules」

2024年 カナダ大麻市場の新たな展開と予測

2023年はカナダの大麻マーケットにとっては市場の均衡点を模索する1年となりました。2022年後半から始まった大麻価格の下落は、2023年下半期からは反転し、販売価格が上昇傾向に転じています。また、大きな問題となっていた過剰在庫も減少傾向にあり、カナダの大麻市場にとって前向きな兆しと言うことができます。法改正や規制緩和が期待される2024年は、市場関係者の間で転換期と捉えられており、ロビーイングを含めた水面下での新たな動きも活発化してきています。 大麻ラウンジ カナダ各地で大麻ラウンジのオープンが計画されています。大麻ラウンジとは、公共スペースで大麻を使用できるカフェなどのことを指します。法解釈の変更に伴い、現行の大麻法の範囲内での運営が可能となり、多くの大麻関連企業や個人投資家がこの新たなビジネスチャンスに関心を示しています。この事業を展開するには、複数のライセンス取得が必要であり、現在、志願者たちはライセンス取得に向けて手続きを進めています。カナダで大麻事業関連のライセンスを取得するには、申請から最低でも6ヶ月を要するため、これらの事業が実際に始動するまでには時間がかかる見込みです。しかし、元々別の目的でライセンスを取得していた企業の中には、この新しい分野への進出を決定しているところもあります。特に、アルバータ州では州独自の取り組みが進んでおり、2023年10月にはカンナビノイド成分を使用したレストランがエドモントンでオープンしています。 多くの州内でこの様な動きが見られる中、大麻で有名なブリティッシュ・コロンビア州においては、今のところ大麻ラウンジの運営を許可する動きは見られません。下記の表は、2023年に大麻ラウンジの是非についてブリティッシュ・コロンビア州で行われた国勢調査の結果です。ブリティッシュ・コロンビア州のビクトリア市では、ビクトリア・カンナビス・バイヤーズ・クラブがThe Boxという大麻ラウンジを非合法で運営していましたが、そちらも2023年3月に州の指導により閉業しています。これらの動きは、カナダにおける大麻市場の多様化を示しており、今後の展開が注目されています。 Government of Canada: What We Heard of report 2022より 大麻を使ったイベントの開催 大麻関連のイベントも増加傾向にあり、2024年は従来とは異なるエンターテイメント性の高い大麻イベントがカナダ国内で数多く予定されています。カナダでの嗜好大麻の合法化は、決して大麻の使用を奨励するものではないため、若者を対象とした魅了的な宣伝やイベントは禁止されていましたが、社会の見方も徐々に変わりつつあり、規制も少しづつ緩和され始めています。 カナダでの大麻イベントとしてはLift ExpoやGrowUp Conferenceが有名ですが、そのような大手のイベント会社が手がけないようなイベントを企画する動きも見られ、そこにライセンスを持った企業が参加するという流れも一つの主流となってきています。私たちCJCもこの分野への参入を進めており、今月はトライアルとして招待制の大麻イベントを行います。これにはカナダの大麻企業も3社参加する事になっています。このイベントの結果については、後日SNS上で報告します。 オンタリオ州での法規制の変更 2024年、カナダ最大の大麻マーケットであり、国内全体の売上の40%を占めているオンタリオ州で、大麻の法規制に関する変更がいくつかあるました。変更点は大きく分けて以下の2つです。 ディスペンサリーの上限の増加: 新しい法律により、ライセンスを持つディスペンサリー事業者は、最大150の店舗を運営できるようになります。これは、現在の75店舗という上限を大幅に引き上げるもので、大麻市場の拡大とアクセスの向上を目指しています。 デイケアでの大麻栽培の禁止: デイケアとして使用されている家では、例え個人の自宅でも大麻栽培が禁止されます。これは、安全と健康を保護するためであり、子ども達に対する大麻の露出を抑制することを目的としています。これはBC州でも同様の法規制が適用されています。 これらの変更は、オンタリオ州における大麻市場の成長と発展を促進するとともに、公衆衛生と安全を確保するためのものです。大麻小売業者にとっては、新たなビジネスチャンスが生まれる一方で、家庭環境における大麻の取り扱いに関してはより厳格な対応が期待されています。 BC州での法規制の変更 ブリティッシュコロンビア州では、大麻生産者が、ディスペンサリーに製品サンプルを提供することが許可されました。この変更は業界からのフィードバックに応えて行われたもので、これにより、より幅広いマーケティングが可能になりました。この変更により、BC州で行われている大麻イベントでは、大麻製品のサンプルの配布が行われることも少なくありません。カナダではサスカチュワン州以外の全ての州において、州政府が仲買人として卸売を行っており、また、製造業者が営業のためにディスペンサリーにサンプルを提供することが法律により禁止されていたため、生産者は自社製品を販売するディスペンサリーから商品を買い取り、その買った商品をサンプルとしてそこで働く従業員に提供するというプロセスを踏むしかなかったのですが、これにより堂々とサンプルを提供することが可能になりました。サンプルを受け取った業者や従業員は、他の店舗や消費者にそのサンプルを提供することは法律で禁止されています。また、サンプルのサイズについては制限がないものの、合理的なサイズと数量が期待されており、小売に適さないほどのサイズであることが求められています。この変更の内容は、ブリティッシュコロンビア州のサイトで確認することができます。 Reference: CBD CBN Website、Province of British Columbia「Bulletin 23-08: Cannabis industry sampling」、Government of Canada「What We Heard: 2022 Roundtables on Online Safety」

Post-Legalization, Cannabis Becomes Harder to Obtain for Minors: Insights from Canadian Study and its Connection to Japan’s Over-the-Counter Drug Overdose Issue

Recently, Marijuana Moment, one of the most popular cannabis media outlets in the United States, published an article 「High School Students Say Marijuana Is Harder To Access Following Legalization For Adults, Canadian Study Shows」about the accessibility of cannabis in Canada following its legalization. The article shares commonalities with the current issue in Japan involving the overdose …

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大麻合法化後、未成年にとって大麻の入手が困難に- カナダの研究で明らかに:日本の市販薬過剰摂取問題との関連性

先日、アメリカで最も人気のある大麻メディアの一つであるMarijuana Momentが、カナダにおける合法化後の大麻の入手性についての記事を掲載しました。その内容は近頃日本で問題となっている市販薬・処方薬の過剰摂取問題に共通するところがあり、ここで検証してみたいと思います。 カナダでは嗜好大麻の合法化が2018年に行われて以来、その結果として高校生の間で大麻の入手が難しくなっていることが最近の研究の結果により明らかになりました。この研究は、カナダの複数の州における高校生を対象に行われ、大麻の合法化とそれによるディスペンサリーの出現が、若者たちの大麻へのアクセスにどのような影響を及ぼしているのかを調査しています。一方、日本では市販薬の過剰摂取が深刻な問題となっており、特に若者の間で救急搬送されるケースが相次いでいます。これら二つの国の状況を比較し、薬物乱用対策について見ていきたいと思います。 カナダ大麻合法化の背景 カナダの嗜好大麻の合法化は、国際的に見ても注目される政策であり、その背景と目的は多岐に渡ります。カナダは、2018年に成人用の嗜好大麻の使用の合法化を行なった世界で2番目の国であり、先進国としては初めての試みでした。 カナダにおける大麻合法化の背景には、複数の要因が絡み合っています。まず、長年にわたり大麻を非合法なものとしてきたことによって、多くの社会的、または経済的コストを生み出していました。ブラックマーケットの存在は犯罪組織の資金源となり、警察や司法システムに大きな負担をかけていました。また、大麻使用に関連する逮捕や有罪判決は、若者や少数民族に対しネガティブな影響を与え、彼らの将来に長期的な悪影響を及ぼしていました。 また、医療目的での大麻使用に関する研究が進む中で、その有用性が広く認識されるようになった事も大きな要因の一つでした。痛みの管理、てんかん、多発性硬化症などの症状の緩和に大麻が有効であることを示す複数の研究結果が、カナダの大麻政策変更の議論を加速させました。 カナダ政府が大麻合法化を推進した大きな目的は、大麻の使用と供給を規制し、公衆衛生と国民の安全を保護することにありました。これにより、政府は大麻製品の品質を管理し、未成年者へのアクセスを制限し、消費者に安全な製品を提供することが意図されていました。また、合法市場の創出は、ブラックマーケット(非合法市場)を縮小し、犯罪組織の収入源を断つことも見据えて行われました。公衆衛生の観点から、大麻に関する正確な情報提供や教育が可能になることにより、使用者が安全な環境で大麻を購入し使用できるようになることにより、大麻に関連する健康被害を減少させ、依存症やその他の問題の予防と治療が可能になることが期待されています。 この様に、カナダの大麻合法化は、犯罪の減少、公衆衛生の向上、経済的利益の増大という複数の目的を達成するための段階的な政策であり、規制の緩和や変更は現在も進行中のプロセスです。この政策は、大麻に対する社会的な変化と、より広範な医療および嗜好用途への導入を促進しており、タイ、ドイツ、イスラエル、イギリスなどの他国が同じ道をたどる際に、重要な道標となっています。カナダの大麻政策は一国によって作られたものではなく、国連やWHOなどの国際情勢を鑑みており、今後アメリカなど世界各地で大麻の合法化が本格的に行われる際の基準となると考えられています。 日本の市販薬濫用の背景 日本での市販薬乱用問題は近年深刻化していますが、その背景には長い歴史があります。市販薬の容易な入手性、乱用に対する認識の低さ、そして社会的・心理的要因が複合的に絡み合っていることが、この問題の背景となっています。 この問題は特に高度経済成長期以降に顕著になりました。この時期、日本経済の急速な発展とともに、医薬品市場も拡大しました。1950年代〜1970年代の日本は労働集約的な産業構造と、長時間労働が常態化しており、多くの労働者が過度なストレスや疲労にさらされていました。これにより、ストレス緩和や睡眠のため、またはリラックス効果を市販薬に頼る人が増えました。さらに、当時は医薬品に関する情報が限られており、薬の副作用や依存性に対する一般の認識が不十分でもありました。 それと同時に、当時の日本の人々は、経済発展に伴う社会の急速な変化も経験していました。急激な都市化、家族構成の変化、教育や就職の競争の激化など、多くの社会的ストレスが生じていました。これらの変化は、人々の生活様式や健康に大きな影響を与え、市販薬の乱用という形で表れることとなりました。この時期の市販薬乱用問題は、現代の医薬品オーバードーズ問題への背景として重要な意味を持っており、人々の間で医薬品の安全性や適切な使用法に関する認識を高め、社会的ストレスに対処するための健康的な対策を模索する必要性を示しています。 カナダの大麻入手性に関する研究 カナダで行われた大麻合法化後の「高校生の大麻入手難易度に関する研究」は、公衆衛生政策の影響を評価する上で重要なデータとなっています。この研究は、カナダの大麻合法化が若年層の大麻アクセスにどのような影響を与えているかを調べることを目的としています。 研究では、ブリティッシュコロンビア、アルバータ、オンタリオ、ケベックの各州にある中等教育学校の9年生から12年生を対象に、大麻の入手可能性に関する調査が行われました。調査期間は2018年から2021年にかけてで、大麻合法化の影響を評価するため、学生たちに「大麻を手に入れるのが難しいか?簡単か?」という質問がされました。 研究の結果、大麻を簡単に手に入れることができると答えた学生の割合は、2018年から2021年の間に51.0%から37.4%へと減少しました。これは、全体としても26.7%の減少となります。また、過去1ヶ月以内に大麻を使用したと報告した学生の割合も、同期間中に12.7%から7.5%へと減少しました。 この研究は、大麻合法化が未成年者の大麻アクセスを制限する効果があったことを示唆しています。合法化により、大麻の販売が規制され、未成年者への販売が厳しく制限されたことが、未成年者の入手難易度の増加に寄与したと考えられます。また、合法化に伴う教育と啓発活動が、若者の大麻に対する認識を変え、使用を抑制する効果をもたらした可能性もあります。ただし、このような研究には限界もあります。自己報告に基づくデータのため、回答の信憑性には疑問が残ります。また、大麻の入手難易度の変化が合法化の直接的な結果であるかどうかを断定するには、Covid-19のパンデミックの様な他の要因を排除する必要もあります。 日本の市販薬OD問題 日本における市販薬の過剰摂取問題は、医薬品乱用が社会的な健康リスクとして認識されていることを示唆しています。市販薬は広く利用されており、多くの場合、処方箋なしで容易に入手できる点が、この問題を悪化させています。鎮痛剤、風邪薬、睡眠薬などの乱用は、特に若者の間で増加しており、過剰摂取による健康リスクが高まっています。 市販薬の乱用は、しばしばストレスや精神的な問題から逃れる手段として利用されています。学業や職業上の圧力、人間関係のストレスなどが原因で、若者がこれらの薬に頼ることがあります。インターネットやSNSを通じて、特定の薬の乱用方法や効果に関する情報が拡散されることも、この問題を悪化させています。 この問題に対処するためには、市販薬の販売と使用に関してより厳格な規制が必要であると考えられ、若者が容易にアクセスできないような措置が求められます。また、市販薬の適切な使用とリスクに関する教育と啓発活動を強化することも重要です。ストレスや精神的な問題に対処するためのサポート体制の充実も必要であり、特に若者が健康的な方法でこれらの問題に対処できるような環境が求められます。市販薬の乱用問題は、医薬品の問題にとどまらず、社会的な問題として捉える必要があります。適切な対策を講じることで、この問題の深刻化を防ぎ、より健康的な社会を築くことができます。 両国の薬物対策 カナダの薬物乱用対策は、以下の4つの主要な柱を基盤としています。 画像出典:Government of Canada 予防と教育: 薬物乱用の防止、軽減に向けた啓発 エビデンス: 研究とデータ収集により、薬物関連政策をサポート 薬物使用者へのサポート: 薬物使用者に対する一連の治療、ハームリダクション、回復オプションの提供 物質のコントロール: 公衆衛生および安全リスクに対処するための法規制の整備 カナダの薬物対策は、薬物使用を健康問題の一環として扱い、利用者に対して思いやりと尊敬を持って対応しています。 その一方、日本では、薬物使用は主に刑事問題として扱われ、撲滅に重点が置かれています。日本の薬物政策は、使用者への取り締まり、売買や密輸防止、国際協力に焦点を当てています。しかし、薬物使用者へのサポートは不十分であり、ハームリダクションの導入にも反対の姿勢を示しています。また、日本の薬物政策は、厳罰主義に基づいており、日本の刑務所人口の約25%が薬物犯罪に関連するものとなっています。しかし、効果的な治療やサポートの提供が不足しており、重い刑事処罰が適用されていますが、薬物犯罪者の大部分が再犯者となっています。北米やヨーロッパ諸国と比べ、日本では薬物使用を健康問題として理解する視点が欠如していると言うことができます。 カナダのアプローチは、薬物使用を健康問題として捉え、対応しているのに対し、日本は薬物使用を刑事問題として扱い、厳罰化に重点を置いています。2024年から施行が予定されている大麻の使用罪もその一つであると考えられます。カナダのアプローチは、薬物使用者への支援と社会復帰の可能性を高めることで、薬物乱用のリスクを減少させる可能性があります。一方、日本のアプローチは、薬物使用者を刑務所や少年院に送り込むことで、社会復帰の機会を制限し、長期的な解決には至らない可能性があります。これらの違いは、薬物乱用に対する文化的、社会的な見解の違いを反映しているものであると考えられます。 両国への対策提案 日本: 薬物使用を健康問題として理解し、使用者に対する治療とサポートの提供を強化する必要があるでしょう。また、ハームリダクションの導入を再検討し、薬物依存症に対する包括的なアプローチを採用することが求められます。 カナダ: すでに薬物使用を健康問題として捉えていますが、さらに治療と回復プログラムへのアクセスを拡大し、特に社会的に脆弱な集団への支援を強化することが重要です。 両国の薬物乱用対策は、それぞれの社会的、文化的背景に根ざしており、一方のアプローチが他方よりも効果的であると一概に言うことは困難です。しかし、カナダのように薬物使用を健康問題として扱い、使用者への支援と理解を強化するアプローチは、薬物乱用の問題をより持続可能な方法で解決する可能性があります。 Reference: わが国における市販薬乱用の実態と課題「助けて」が言えない子どもたち、Ritsumeikan University「1960年代の医薬品が置かれた状況を事例から明らかにする」、IDPC「Drug use, regulations and policy in Japan」、National Geographic「Is pain relief from cannabis …

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