国際連合INCB(国際麻薬統制委員会)の2023年度の年次レポートが発表されました。この中で、国際連合(UN)の薬物管理機関は、医療や科学目的以外での大麻の合法化は国際条約に違反するとの見解を繰り返し表明しています。この件に関して、先日MjBizのジャーナリストであるMatt Lamersが以下のようなツイートをしています。
In its annual report, the UN's INCB appears to be reminding countries that international law (1988 Convention) "requires the criminalization" of cannabis cultivation "for the purpose of the production of narcotic drugs contrary to the provisions of the 1961 Convention"#adultuse pic.twitter.com/m119zPJDrx
— Matt Lamers 🌻 (@matt_lamers) March 5, 2024
これは、国際連合INCB(国際麻薬統制委員会)の年次レポートに関するもので、今年のレポートの中で、各国に対し、1961年条約が大麻栽培を犯罪化する事を要求しているという点について再度喚起していているという事について触れているものです。
また、アメリカの別の大麻メディアMarujuana Momentも、「UN Body Reaffirms That Marijuana Legalization Violates International Treaties, While Addressing Germany Cannabis Reform And U.S. Psychedelics Movement」というタイトルで、ドイツの大麻合法化やアメリカでのサイケデリックに対する政策の変化などを含めて同様の件について報じています。
Marijuana Momentの報道内容
国際麻薬管理委員会(INCB)は、1961年に遡る単一条約に基づく各国の義務を理由に、大麻合法化を許可する国々を定期的に批判してきました。ドイツが大麻合法国の一つとなり、アメリカが大麻とサイケデリックスの改革に向けて動き続ける中、INBCは再び失意の念を表明しています。
INCBの2023年の年次報告書は、加盟国が大麻のような薬物の「生産、製造、輸出、輸入、流通、取引、使用、所持」を犯罪化するために必要な立法的及び行政的措置を講じることを義務付けていると強調しています。
同報告書は、ドイツでの大麻合法化の取り組みや、米国での連邦大麻所持犯罪に対するジョー・バイデン大統領の大量赦免が正式に実施されていることにも言及しています。さらに、米国内でのサイケデリックス政策の進展や、オレゴン州におけるシロシビンサービスの合法化、コロラド州でのより広範なサイケデリックスの合法化も監視していると述べています。
カナダでの大麻合法化への経緯
国際条約との対立
カナダと国連・WHOとの対話
国際的な反応としては、特にロシアがカナダの大麻合法化に対して強い圧力をかけているとされ、ロシアは西側諸国の「ルールに基づく国際秩序」に対する偽善を指摘し、西側諸国間の分裂を煽る機会と見なしていると報告されています。
国際法との整合性
日本での大麻取締法の改正に伴うグローバリゼーション
- 国際薬物規制条約の遵守: 日本は1961年の単一麻薬条約などの国際薬物規制条約の加盟国であり、これらの条約はTHCを含む大麻の製造、販売、所持、使用を厳しく制限しています。改正案が国際条約に違反しないよう、THC含有量の許容範囲を設定する際には、条約の規定を慎重に検討する必要があります。
- 国際機関との対話: カナダの例のように、大麻政策の変更を行う際には、国際麻薬統制委員会(INCB)などの国際機関との対話を通じて、改正が国際的な薬物規制体制に与える影響を共有し、理解を求めることが重要です。
- 国際基準との調和: 他国ではTHCの含有量が一定基準を超えなければ合法とされている場合がありますが、日本が国際基準と調和を図るためには、WHOが推奨するTHC含有量の基準や、他国の法律との比較を考慮することが必要です。
- 国際的な取引と規制: CBD製品の国際的な取引が増加する中で、日本の法律が国際的な商流に適合しているかを確認し、国際市場での競争力を保つための規制を検討する必要があります。
- 公衆衛生への配慮: WHOは公衆衛生の観点から薬物政策を評価します。日本政府は、THC含有量の許容によって公衆衛生に悪影響が出ないよう、科学的根拠に基づいたリスク評価を行う必要があります。
- 国内法と国際法の整合性: 日本国内での法改正が国際法と整合性を持つように、国際法の専門家との協議を行い、必要に応じて国際条約の改正や留保の申請などの手続きを検討することが求められます。
Reference: INCB「Report of the International Narcotics Control Board for 2023」、Marijuana Moment「UN Body Reaffirms That Marijuana Legalization Violates International Treaties, While Addressing Germany Cannabis Reform And U.S. Psychedelics Movement」、Canadian Lawyer「International law experts say legal cannabis defies Canada’s UN treaty obligations」、NCBI「International legal barriers to Canada’s marijuana plans」、参議院「調査室作成資料」、厚生労働省「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について」、衆議院「第3号 令和5年11月10日(金曜日)」、