WHOがSARS-CoV-2感染症の正式名称をcoronavirus disease 19(COVID-19)と定め、パンデミックを宣言したのが2020年3月11日。 その月から翌年2021年2月までの合法大麻製品の売上は25億ドルとなり、それまでの12ヶ月間の12.5億ドルの約2倍に上った事が分かりました。 また調査の中で、この年は大麻の使用者も増加し、人々の使用頻度も上昇している事が分かりました。 コロナパンデミックによる自宅待機により急に家で過ごす時間が増えたり、またストレスが増加したりとカンナビスの使用量が増加しそうな理由は沢山あるのですが、最新の調査によるとその理由はパンデミックではなく、カンナビスマーケットの拡大が主な理由であったとの事です。 急激に拡大する市場 2018年10月に嗜好大麻が合法化された時点で国内でライセンスを持って営業していたディスペンサリーは100店舗前後に過ぎなかったが、翌年の3月までにその数は約倍の200店舗になり、2021年2月の時点でその数は1,500店舗を越しています。 また合法化された2018年10月の時点での国全体での月間の売上は約4,200万ドルであったが、翌年2019年の3月には5,900万ドルにまで上昇し、2021年の2月には2億6,200万ドルにまで達しています。 現在ではディスペンサリーの店舗数は3,100店をこえ、その売上も3億4,700万ドルにまで上っています。 この様に店舗数の増加は売上増加の要因の一つであると考えられますが、選択できる商品数が増えたことも理由のひとつであると考えられます。 パンデミック中の2020年1月から「カンナビス2.0」製品の販売が始まり、エディブル、ドリンク、ベイプ製品の販売が始まったことも売上増加の大きな要因の一つであると考えられます。 その中でもベイプ製品は乾燥バッズに続いて全体で二番目の売上をもつカテゴリーになっています。 2020年3月パンデミックスタート パンデミックが始まった直後、ロックダウンに対する恐れから多くの人々がディスペンサリーに殺到し、一部の地域では店の前に人々の行列ができていました。 インターネット上ではストレスやメンタルケアのために大麻の消費量が増えたと言われていますが、実際のところはどうなんでしょうか? Statistics Canadaの調査などを見ていると、確かにストレスや退屈から大麻の消費量が増えた面もあるみたいですが、パンデミック直後に一気に増加した売上は長く継続していない事から、それは人々がパンデミックの恐れから一時的に買い溜めみたいな事をしたとみるのが妥当な様です。 それでは何故この後パンデミック中にも関わらず売り上げが増加したのでしょうか? それも先ほど上記したものと同じく、人気のあるベイプやエディブルなど「カンナビス2.0」製品の登場が大きく影響している様です。 マーケット成長の理由 まだ大麻に関する法律を作り上げている段階にあるカナダにとって、近年の大麻製品の売上増加がパンデミックによるものなのか、またそれ以外の理由によるものなのかを正しく理解するこ事はとても重要になります。 また運営や製造に関するコストも増大している事から、事業者にとっても現在の売上増加とコロナの関係を正しく理解することはとても重要になっています。 カンナビス製品を使用すると答えた人の数も2018年〜2020年の間に14%から20%に増加しており、またその中で毎日使用すると答えた人も5.4%から7.9%に増加しています。 これは売上増加が単にパンデミックによる影響だけではなく、ユーザー数の増加が売り上げの増加に影響している事を意味しています。 カンナビスによる健康問題 カナダでは大麻を毎日使用する人の三人に一人は何らかの健康問題を引き起こす可能性があると言われており、大麻に関連した救急外来の数も実質的に増加しています。 カンナビスが体に及ぼす影響についてはまだまだ研究段階と言えますが、カナダはこれからも更に最新の研究結果と合わせて法律を作り上げていく必要があるでしょう。 今年2022年に入りマルタ共和国やメキシコでもカンナビスの取り扱いに関する法律に動きがあり、これからそれらの国々でもその辺りの法律やルールを作っていくことになります。 アメリカ合衆国は連邦法での合法化までの道のりは長く、現在は州ごとで異なっているカンナビスに関する法律など、まだまだ取り組みべき課題は多く残されています。稀に起こるカンナビス製品による健康被害も、全てはしっかりとした法律やルールがない事が原因となっています。 そういった意味でもいつか各国でカンナビス合法化が起こりそこで働きたいと考えている人は、今のうちから合法国で働きながらそういったセンスを身につけておくのも一つの手段かも知れませんね。