オーストラリア上院、大麻合法化法案を否決

オーストラリア上院は27日、緑の党が提出した全国的な大麻合法化法案を24対13で否決した。法案提案者のデビッド・シューブリッジ上院議員は、今後も合法化への取り組みを継続する意向を明らかにしている。
本法案は、18歳以上を対象に各家庭での最大6株の大麻栽培、「カンナビスカフェ」での販売を柱とし、Cannabis Australia National Agency(CANA)の設立による国家レベルでの規制を提案。先住民族へのライセンス料免除など、独自の施策を盛り込んでいた。
シューブリッジ議員は、今回の法案が連邦議会で初めて全国的な大麻合法化について投票された重要な機会だと強調。「麻薬戦争から脱却し、より安全で害を軽減するハームリダクション モデルを提示した」と述べ、「何百万人ものオーストラリア人が合法化を望んでいる」と主張した。
これに対し、反対派は法案の憲法的根拠に疑問を呈した。労働党のドン・ファレル上院議員は、嗜好目的の大麻所持は州および準州の管轄事項であるとし、「シューブリッジ議員と緑の党による政治的仕掛け」と批判した。
経済面においては、15%の税率で今後10年間に約282億豪ドル、25%の税率では約368億豪ドルの政府税収が見込まれていた。現在、緑の党は上院76議席中11議席を占めている。
現在、大麻は連邦レベルで違法であり、厳格な医療用大麻プログラム以外での使用は禁止されている。ただし、オーストラリア首都特別地域では2020年から小量の大麻の非犯罪化政策が導入されるなど、部分的な改革が進んでいる。
カナダの事例も議論に上り、反対派はブラックマーケットの存在を合法化の課題として挙げた。しかし、カナダの最新調査によれば、大麻消費者の約73%が合法的な供給源から購入しており、違法な供給源の利用は3〜5%に留まることが明らかになっている。
シューブリッジ議員は、今回の否決にもかかわらず合法化への決意を示した。「労働党と連合党が社会の改革を阻止している」と批判し、大麻合法化は「避けられない道」との姿勢を崩していない。
オーストラリアの大麻政策は現在、重大な転換点にある。医療用大麻の制度や一部地域での非犯罪化は進んでいるものの、嗜好目的の全国的合法化は依然として実現していない。シューブリッジ議員と緑の党の今後の動向は、業界関係者や政策立案者の注目を集めている。

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