人類は今まで何度となく間違いを繰り返し続けてきた。
その間違いから学び、改め、そして現在へと繋いできた。
そしてまた1つカナダで何かが変わった。
もう仕事を探す時に余計な事を考えなくてもいい。
本当にやりたい事が出来るようになる。
パスポートをとって他の国にだって行けるようになる。
この日が来るのを待っていた人も多いだろう。
沢山の人が待ち望んでいたニュースがカナダ国内に流れ、それと同時にカナダ政府のサイトに以下の内容がアップされた。
this legislation will expedite the pardons process (also known as a record suspension) for people convicted only of simple possession of cannabis, eliminating the $631 application fee and the up to 10-year wait period.
引用 : Government of Canada
過去に大麻の単純所持で逮捕された経歴がある人が恩赦を受ける事が出来るようになったのだ。
通常カナダで恩赦を受ける為には刑の満期から10年経過している必要があり、また$631の申請料がかかる。
それもこのBill C-93(新しい法令)が施行されれば免除されるというニュースだ。
恩赦の理由
今回の恩赦はもちろん昨年2018年の嗜好大麻合法化が発端となっている。
ではその合法化と今回の恩赦の背景にあるものとは一体何なんだろう?
カナダでは2001年に医療大麻制度が導入された。
またそれ以前よりアメリカや一部のヨーロッパ諸国と同様、比較的多くの人が気軽に大麻を楽しんでいた。
体に及ぼす効果も研究により少しづつ明らかになってきて、多くの活動家が言うように禁止している理由が無くなったからであろうか?
そうではない。
2018年の合法化以前より現在のカナダ首相ジャスティン・トルドーの自由党のホームページには合法化を目指す理由が掲げられていた。
To ensure that we keep marijuana out of the hands of children, and the profits out of the hands of criminals, we will legalize, regulate, and restrict access to marijuana.
引用 : Liberal Party of Canada
- 未成年の大麻使用の防止
- 反社会勢力の資金源のカット
以上の2点である。
またカナダ政府は今でも大麻が安全であるとは決して言っていない。
下記のリンクはカナダ保健省のサイトで大麻の長・短期使用による健康への懸念、未成年の大麻使用による影響などについて書かれているので興味がある人は覗いてみてほしい。
ただこの内容にも多くの人が苦言を呈していて、僕個人の意見としても未だ古い情報に基づいているものもチラホラ散見しているというのが正直なところだ。
前科が消える?
恩赦とは何かをご存知の方ならば分かる事なのだが、今回の恩赦による前科の取り扱いはこちらのカナダ公共放送cbcのサイトを参考にしてほしい。
https://www.cbc.ca/news/politics/pot-pardon-free-1.5185446
前科が取り消される犯歴抹消と恩赦は違うのだ。
恩赦とは分かりやすく言えば前科は残るのだが、犯罪経歴証には記載されないので就職や賃貸契約、パスポート取得には影響しなという事なのだ。
ただここで1つ問題がある。
今回の恩赦はあくまでカナダの法律で行われた事であり、他国にとってはあまり関係ないという事だ。
例えば外国人が日本に入国する時に記入する入国カードがある。
そこには犯罪経歴を問う項目があるのだが、もし犯罪経歴があるのならたとえ恩赦を受けていたとしても「犯罪経歴あり」にチェックを入れなければいけないのだ。
カナダ国内では自由になるかも知れないが、入国の時に過去の犯罪経歴を問う国へ行く事に関しては弊害が残ったままなのである。
本当の自由
なぜ今回は犯罪経歴抹消ではなく恩赦なのであろう?
それは今回の様な法律改正が発端となり犯罪経歴の抹消が行われるためには、その法律改正の理由が憲法違反でなければならないからだ。
実は過去にはカナダで犯罪経歴の抹消が行われたことがある。
カナダは過去に同性間での性行為を法律で禁止していたのだ。
現代では多くの人がそれは人権侵害だと答えるだろう。
しかし当時はそれが犯罪だと考えられていたのだ。
2019年現在、今でも世界のほとんどの国では嗜好大麻は法律で禁止されており、嗜好大麻を禁止する事が人権侵害であると言う事は難しいだろう。
日本でも毎日どこかで誰かが大麻取締法違反で逮捕されている。
しかし世界では少しづつではあるが大麻に対する考え方が見直されてきている。
人類はこれからも間違いを繰り返していくであろう。
そしてこれからも間違いから学び、改め、未来へと繋いでいくのであろう。
単純所持の人だけではなく、いつの日か医療目的で栽培をしていた人やそういった人たちをサポートしていた活動家たちにも自由が与えられる事を願う。
そしてその波が日本へも到達するように少しでも力になれたらと思う。