ハーバード大学医学大学院教授であり、また永年に渡りアメリカ合衆国の大麻啓発団体NORMLの理事長を務めていましたレスター・グリンスプーン博士が先週2020年6月25日に逝去されました。
アメリカで大麻に関する法律の改正に尽力された人物で、92歳で亡くなる直前まで精力的に活動されてきました。
その功績は非常に大きく、彼の後釜として十分な人間は存在しないとまで言われており、グリンスプーン博士が執筆したMarijuana Reconsideredはアメリカの多くの州で大麻の規制を緩和させ、また合法大麻市場を作り上げるきっかけになったとまで言われています。
NORMLの創設者であるキース・ストループは、グリンスプーン博士の長年に渡る一貫した合法化運動についてLAウィークリーに以下の様に話しています。
「大麻の合法化活動を行っていく中で、医療や公衆衛生の専門家は他にもいましたが、彼らの大麻に関する考えが、科学的根拠に基づいていると最初に主張し始めたのがグリンスプーン博士でした。現在アメリカ合衆国では次々と違う州で大麻の規制緩和が行われていますが、それを実現させる為の議論を始めたのが彼だと言われています」
また現在NORMLのエグゼクティブディレクターを務めるエリック・アルティエリもLAウィークリーの質問に答えており、「グリンスプーン博士の功績は誇張する事すら難しいでしょう。まだ運動が始まったばかりの頃、合法化活動に尊厳や合理性というものを与えてくれたのは彼でした。彼は人生の大半を大麻や大麻を使用する人の汚名を払拭する為に捧げてきました。彼の存在はグリンスプーン博士を知る多くの人から惜しまれるでしょう。」と話しています。
グリンスプーン博士の声は大麻合法化を望む人たちの声を代弁する存在になっていきましたが、彼の声は医療で大麻を使用する人たちを代弁するものでもありました。
彼の息子であるダニーは当時末期の白血病を患っていたのです。
化学療法を受け身体が衰弱していく中、グリンスプーン博士は息子が大麻を使いその恩恵を受けている様子を日常的に目撃していたのです。
後日ダニーは亡くなってしまいましたが、グリンスプーン博士のその経験は後に何百万人と言う人々の生活の質の向上に繋がっていきました。
しかし2000年以降、世界中で大麻に関する見直しが頻繁に行われていますが、いまだに大麻は多くに人々にとって”違法薬物”である事も否定できません。
グリンスプーン博士の死後、息子ピーターは、彼が40年間勤めていたボストンのマサチューセッツ精神保健センターで彼が指導した卒業生や、博士の影響で人生が好転したという何千もの人々から感謝のメッセージを受け取ったそうです。
近年では急激に世界で大麻に関する議論が盛り上がってきていますが、晩年のグリンスプーン博士はそれをどう見ていたのでしょうか?
カリフォルニアで医療大麻に関する法案が通過した頃に博士はすでには70歳近くでしたし、アメリカでCBDが盛り上がりだした頃には85歳を超えていました。
それらの疑問に対し息子ピーターは以下の様に答えています。
「もちろん父にとってとても喜ばしい事でした。でもそんな大麻によって逮捕される人々がいなくなれば、今よりもっと良くなるでしょうね。昔と比べるとだいぶ良くなったんですよ。父がMarijuana Reconsideredを出版した時、サポーターは十代の若者たちぐらいしか居なかったんですから」
昨年のPew Dataの統計によると、現在アメリカでは約9割の人が医療若しくは嗜好目的での大麻の使用が合法化されるべきだと考えている様です。
それは間違いなくグリンスプーン博士の功績の1つだと言えるでしょう。
参考記事 : LAウィークリー